2010年プロジェクト

【パキスタン・シンド州における緊急シェルター配布及び巡回医療事業】

パキスタン水害被災地

パキスタンでは、7月に始まった記録的な大雨による河川の氾濫によって大規模な洪水が続き、現在までに死者約1,500人、負傷者約2,300人、家屋損壊120万世帯等、全国で1,700万人以上もの住民が被害を受けています。

多くの住民は村を突然襲った大洪水に追われ、着の身着のまま、路上や学校等の公共施設での避難生活を余儀なくされています。 混乱した状況の中、パキスタン政府や国際社会からの支援も十分に届かず、被災者たちの暮らす環境は不衛生で劣悪なものです。

こうした状況を受け、JADEでは下記の2つの方向から支援を行っています。

1. 緊急シェルターの配布
シンド州内陸部の家屋を失った被災250世帯を対象に緊急シェルター(防水、ダブルフライ )、道具セット及びシェルター清掃キットを配布。被災者の住環境を改善する。

2. 緊急巡回医療を実施

路上や空き地、公共施設敷地内にできた避難民キャンプに身を寄せる被災者に巡回医療を提供する。感染症等の病気にかかった被災者に、適切な治療を提供することで健康状態を向上させる。


>>パキスタン水害被災者緊急募金にご協力ください!


路上に横たわる被災者 避難民キャンプ
路上に横たわる病気の親子。付き添う人もいない状況。 避難民キャンプでは依然として混乱した状況が続いている。
※写真提供UNDAC


現地の状況

当初はパキスタン北西部で発生した洪水被害ですが、8月上旬頃より、国を南北に走るインダス川の水位が急激に上がり、下流にあたるシンド州内陸部においても北西部からの河川の氾濫により深刻な洪水被害が広がりました。

パキスタン水害JADE事業地

国連はこれを洪水被害の第二波として、現地は危機的状況にあると指摘します。人々は洪水被災地から比較的安全な都市部に移動し、シンド州内だけでも1,800箇所以上の国内避難民(IDP)キャンプ が生まれています。IDPとなった被災者は70万人以上にも及びますが、急激な被災のため、シェルターは常に不足し、最小限の医療と水衛生サービスしか提供されていません。

北西部における活発なモンスーンの活動により、シンド州におけるインダス川の水位の急激な上昇は続き、ついに州内各地で次々と堤防が決壊しました。 現地は洪水から逃げる人々の移動で極めて混乱した状況にあります。

8月にJADEが行った現地調査では、県内の公共施設(学校等)がすでに避難してきたIDPであふれ、受入能力の限界を超えているのを確認しました。また、県内の主要道路では、数万人のIDPが路上生活をしており、避難環境は劣悪化するばかりです。

さらには、IDPキャンプを中心に、事業地に視察にきた国連の報告書にもOutbreak of diseases(疾患の集団発生)と記載されているほど、感染症が猛威を奮っています。 8月18日までに、被災地における20万例以上の急性下痢症、26万例以上の皮膚感染症、同じく20万例以上の呼吸器疾患が報告されました。

被災地から逃げてきた人々による被災地の情報  
(JADEスタッフがラルカナ市内のIDPキャンプで直接聴取:2010年9月2日現在)

●インダス川から堤防決壊箇所を通過して入ってくる水量は日に日に増しており、洪水の勢いはますます強まっている。
●クボサイードカーン郡バゴデロ地区に続き、カンバル郡ゲビデロ地区及びその周辺も完全に水没し、その※水深は約9フィート(3メートル弱)にも及ぶ。
●農村部だけでなく、郡内の商業地域もすでに水面下となり、商店等も相当損壊している。

 


期間/ 2010年9月16日〜2011年3月20日(186日間)
地域/パキスタン シンド州
予算/32,044,920円
連携団体/ジャパンプラットフォーム


このページのTOPに戻る