タクロバンの緑

12月14日、マニラからセブ島経由でレイテ島のタクロバンに降り立ちました。飛行機を降りる私たちの目をまず捉えたのは航空自衛隊のC-130輸送機でした。日本ですら見たことがないものを、まさか遠く離れたレイテ島で見るとは思いもしませんでした。

 

タクロバン空港に駐機する航空自衛隊C-130機(2013年12月14日)。

 

私たちに同行したフィリピンのNGO・ANCE(Action for Nurturing Children and Environment)のアーロンさんは、空港を出るなり「葉が出ている」と嬉しそうに言いました。2週間前にここに降り立ったときは、枝もろとも飛ばされ緑がなかったそうです。ふとこれと似たような喜びの言葉を、2011年の春、岩手県宮古市で聞いたことを思い出しました。

 

空港前の木々には緑の葉が(2013年12月14日)。

 

支援物資の列に並ぶ人々(2013年12月14日)

 

タクロバンの町は絶望的とも思えるほどに破壊されていました。被害を受けていない家屋は皆無と言ってもいいほどです。台風から一ヶ月、まだ電気も水道も通っていません。この一ヶ月以上もの間、タクロバンの夜は暗闇に包まれています。瓦礫の撤去も遅々として進まず、その下にはまだ多くの遺体が埋まっていると言われています。

 

一方で、町のあちこちからチェンソーやトンカチの音が聞こえてきました。下の写真はタクロバン市内の貧困層が多く住む地域ですが、向こうの方にはすでに家が建っているのが見えるでしょう。台風によって家財道具もろとも流されましたが、自ら資材を拾い集め、再び家を建て始めているのです。

 

タクロバン市内 (2013年12月14日)

 

こうした光景はタクロバンだけでなく、周辺の各地でも見られました。トントンと釘を打ち付ける音はまるで復興への足音のようです。岩手県の被災地で聞いた言葉が思い出されます。

 

「希望がある限り、町は必ずよみがえるのだ」と。

 

*本事業は特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム(JPF) のご協力により実施されております。JPFの取り組みに関するより詳しい情報はこちらのウェブサイトをご覧ください。

 

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